自己負担の上限を図で見る
- 制度がなければ払う額
- 実際に払う額
- 高額療養費がまかなう部分
いま選んでいる区分
同じ状態が続いたら ― 1年ぶんの見通し
直近12ヶ月のうちに上限に達した月が3回あると、4回目からは「多数回該当」として上限そのものが下がります。上の総医療費・区分・負担割合のまま、それが何ヶ月続くかを変えて見られます。
区分ごとの早見表
いま入力している総医療費と負担割合のまま、区分だけを入れ替えるとどうなるかの一覧です。所得区分がはっきりしないときの見当をつけるのに使ってください。
ひと月の自己負担には上限がある
健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・共済組合・国民健康保険・後期高齢者医療制度)に入っていれば、医療機関の窓口で払うのは医療費の1〜3割です。それでも入院や手術が重なると、1〜3割でも大きな額になります。そこで、ひと月(月の初日から末日まで)に払う自己負担が一定額を超えたぶんを、あとから払い戻す仕組みが用意されています。これが高額療養費制度です。
たとえば、69歳以下で年収およそ370万〜770万円にあたる区分ウの人が、ひと月に1,000,000円の医療(保険が効く診療の10割ぶん)を受けたとします。窓口負担が3割なら、そのままでは300,000円を払うことになりますが、この月の自己負担限度額は87,430円です。差額の212,570円は高額療養費として払い戻されるか、あらかじめ手続きしておけば窓口で請求されません。総医療費に対する実質の負担は8.7%まで下がります。
上限は「定額の部分」と「1%の部分」でできている
69歳以下の自己負担限度額は5つの区分に分かれ、上位3区分(ア・イ・ウ)は「定額+総医療費のうち一定額を超えたぶんの1%」という形をしています。区分ウなら80,100円 +(総医療費 − 267,000円)× 1%です。下位2区分(エ・オ)には1%の部分がなく、57,600円、35,400円の定額です。
この1%があるため、上限に達したあとも自己負担はまったく増えないわけではありません。ただ伸び方は非常にゆるやかで、区分ウで総医療費が5,000,000円になっても限度額は127,430円です。上の図で、折れたあとの線がほとんど水平に見えるのはこのためです。
折れ点が「3割負担とちょうど一致する」ように作られている
区分ウの1%がかかりはじめる基準額は267,000円です。これに3割をかけると80,100円で、定額部分とぴったり同じ数字になります。区分イ(558,000円 × 3割 = 167,400円)も、区分ア(842,000円 × 3割 = 252,600円)も同じです。つまり上位3区分の基準額は、「窓口3割で払う額と限度額がちょうど一致する点」として決められています。だから3割負担の人にとっては、総医療費が基準額を超えた瞬間から高額療養費が効きはじめます。区分ウなら267,000円が境目です。
1%の部分がない区分エは、限度額57,600円を3割で割った192,000円が境目になります。窓口負担が2割・1割の人は、同じ限度額に届くまでにより多くの医療費が必要になるので、境目は右にずれます。上の図で「窓口負担」を切り替えると、折れ点が動くのはこのためです。
数えるのは「同じ月・同じ医療機関」ごと
自己負担額は、月の初日から末日までを1単位として数えます。月をまたぐ入院は、たとえ日数が短くても2ヶ月に分かれて計算されるため、それぞれの月で上限の判定を受けます。さらに69歳以下の場合は、医療機関ごと、同じ医療機関でも医科と歯科は別、入院と外来も別に数えるのが原則です。院外処方の薬代は、処方した医療機関の外来分と合算して扱います。
世帯で合算できる(69歳以下は21,000円以上のものだけ)
ひとつひとつは上限に届かなくても、同じ月に同じ世帯で複数の自己負担があるときは合算できます。ただし69歳以下については、合算できるのは1件あたり21,000円以上の自己負担だけです。20,000円の自己負担がいくつあっても合算の対象になりません。70歳以上にはこの下限がなく、金額にかかわらず合算できます。ここでいう「世帯」は住民票の世帯ではなく、同じ健康保険に加入している人の集まりを指すため、共働きでそれぞれ別の健康保険に入っている夫婦は合算できません。
4回目からは上限そのものが下がる(多数回該当)
直近12ヶ月のあいだに高額療養費の支給を3回受けると、4回目からは上限が下がります。区分ウなら44,400円、区分ア・イはそれぞれ140,100円・93,000円です。上限に届かなかった月は回数に数えないので、支給を受けた月だけを数えます。区分ウで毎月1,000,000円の医療費が12ヶ月続いた場合、1年ぶんの自己負担は661,890円になります。制度がなければ3,600,000円なので、2,938,110円ぶんが高額療養費でまかなわれる計算です。
対象にならない費用がある
高額療養費が計算の対象にするのは、保険が効く診療の自己負担だけです。個室などを希望したときの差額ベッド代(特別療養環境室料)、入院中の食事代の標準負担額、先進医療の技術料、保険が効かない自由診療、診断書などの文書料は含まれません。これらは上限を超えても払い戻されないため、入院にかかる総額を見積もるときは、上の図で出る自己負担額に別途足して考える必要があります。個室を希望していないのに個室になった場合など、差額ベッド代を求められない条件も定められているので、請求内容に疑問があれば医療機関の相談窓口に確認してください。
窓口で払う額を、はじめから上限までにできる
高額療養費は本来「いったん窓口で払って、あとから払い戻す」制度ですが、払い戻しには診療月から3ヶ月ほどかかるのが一般的です。マイナンバーカードを健康保険証として使うか、加入している健康保険に「限度額適用認定証」を申請しておくと、窓口での支払いを最初から自己負担限度額までにとどめられます。入院が決まっている場合は、事前に手続きしておくと立て替えが要りません。あとから申請する場合の時効は、診療を受けた月の翌月1日から2年です。過去にさかのぼって請求できるので、心当たりがあれば加入先に確認する価値があります。
さらに負担を軽くする仕組み
会社の健康保険組合には、法定の高額療養費に上乗せして払い戻す「付加給付」(一部負担還元金など)を独自に設けているところがあります。上限が2万円台まで下がる組合もあり、その場合はこのページの計算より実際の負担は軽くなります。加入している健保組合の給付内容を確認してください。また、医療と介護の自己負担が1年(8月から翌年7月)で重なった世帯には「高額介護合算療養費」という別の制度があります。
このページの前提と、確認していただきたいこと
出典は、厚生労働省が公表している高額療養費制度の資料です。区分と限度額はそれをもとにしており、69歳以下は2015年1月から、70歳以上は2018年8月からの内容にあたります。計算は「ひとつの医療機関・ひとつの月」を単位としており、世帯合算や、同じ月に複数の医療機関にかかった場合の合算は、上の図には織り込んでいません。定額部分に1%を足したあとの1円未満は切り捨てて表示しています。所得区分は、被用者保険では標準報酬月額、国民健康保険では「旧ただし書き所得」で判定されるため、年収の目安はあくまで目安です。
高額療養費制度は見直しの対象になることがあります。自己負担限度額や区分が改正されると、このページの計算とは結果が変わります。実際の金額は、加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・共済組合・市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療広域連合)にお問い合わせのうえご確認ください。治療の内容や入院の要否など医療上の判断が関わることは、医師にご相談ください。